2023年2月14日
「子どもたちに介護施設・認知症を身近なものにしたい」介護施設ではたらいていた作者による絵本 | |
介護施設へ引っ越すおばあちゃんに対して、主人公の男の子の心が揺れ動くようすを表現しながら、認知症への理解を促します。巻末にくわしい解説つき。 | |
株式会社偕成社(出版社 本社:東京都新宿区 代表取締役社長:今村正樹)は、 認知症をテーマにした絵本『おばあちゃん、 ぼくにできることある?』(ジェシカ・シェパード 作/おびかゆうこ 訳)を刊行します。 | |
『おばあちゃん、 ぼくにできること ある?』は介護施設ではたらいていた著者の「子どもたちにとって介護施設、 認知症を身近にするにはどうしたらいいだろう」という考えから生まれた、 デビュー作の絵本です。
絵本は、 主人公の男の子オスカーとおばあちゃんの、 和やかな日常の風景からはじまります。 おばあちゃんといっしょに公園に行ったり、 絵本を読んだりする時間を楽しむオスカーですが、 おばあちゃんがオスカーの誕生日を忘れているように見えたり、 なんでもないことがうまくできない日があったり、 オスカーはしだいに「おかしいなあ」と感じるようになっていました。 そして、 お父さんの勧めで、 おばあちゃんは「おばあちゃんのお手伝いが上手にできる人たちがいる」介護施設に移ることになります。 おばあちゃんが怒りだした理由がわからなかったり、 同じ話を何度もされたり、 時折様子が異なることにオスカーは戸惑うこともありました。 けれども、 介護施設でも以前と同じようにいっしょにおやつを食べたり、 遊んだりするうちに、 「どんなときも、 ぼくはおばあちゃんが大好きなんだ」ということに気がつきます。 巻末には「認知症」の症状について、 そしてその症状がある人に対してなにができるか、 というくわしい解説が、 絵本と同じやさしい言葉で書かれており、 絵本の延長で「認知症」についてさらに理解を深められます。
認知症の介護施設ではたらいていたとき、 子どものすがたをみかけることはほとんどありませんでした。 でも、 たまに親につれられた小さな子どもがやってくると、 施設でくらす人たちみんなの表情が、 ぱっと明るくなったのをおぼえています。
イギリス南部にあるファルマス大学でイラストレーションを学びながら認知症の介護(施設ではたらく。 卒業後、 子ども時代をすごした北部の田舎町にもどり、 絵本の製作をはじめる。 介護の経験を生かし、 絵本づくりをとおして、 人びとの生活を明るく楽しいものにしたいと願っている。 本書がデビュー作。 (訳)おびかゆうこ 東京生まれ。 国際基督教大学語学科卒。 出版社勤務、 ドイツ留学を経て、 現在は子どもの本の翻訳にたずさわっている。 翻訳絵本に『かあさんふくろう』『クリスティーナとおおきなはこ』『きのうえのおうちへようこそ!』(以上、 偕成社)、 児童書の訳書に『かわいいゴキブリのおんなの子メイベルとゆめのケーキ』(福音館書店)、 『嵐をしずめたネコの歌』(徳間書店)などがある。 ホームページ: https://obikayuko.com
作:ジェシカ・シェパード 訳:おびかゆうこ 定価:1500円+ 税 対象:5歳から サイズ:26cm×26cm ページ数:29ページ ISBN コード:978-4-03-348430-3 発売時期:2019年9月4日 ◎偕成社HP書誌情報: https://www.kaiseisha.co.jp/books/9784033484303 | |
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