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コウノトリの故郷・兵庫県豊岡市 廃業温泉館「乙女の湯」復活プロジェクト始動。行政×住民×民間企業がタッグで地方創生

コウノトリの故郷・兵庫県豊岡市 廃業温泉館「乙女の湯」復活プロジェクト始動。行政×住民×民間企業がタッグで地方創生
2020年1月20日から復活資金の一部をクラウドファンディングで募集開始!目標金額500万円
2019年8月に廃業した温泉館「乙女の湯」。 復活を願う地元の声を受け、 ベンチャー企業が「温泉付きグランピング施設」として再興に挑戦。 市と地元住民と協働で、 地方創生を目指す。

兵庫県北部に位置する豊岡市は、 日本で最後の野生コウノトリの生息地として知られる。 その市内にある出石(いずし)は、 旧出石藩の城下町で「但馬の小京都」と呼ばれる人口1万人ほどの町。 そこに廃業した日帰り温泉館「乙女の湯」がある。

廃業した「乙女の湯」。  木造瓦葺の平屋建て。  建築面積は579.46平方メートル。  2005年3月に完成した
廃業した「乙女の湯」。 木造瓦葺の平屋建て。 建築面積は579.46平方メートル。 2005年3月に完成した

「乙女の湯」は旧出石町が建設し、 2005年にオープン。 地元住民らが中心に運営を行っていた。 2006年のピーク時には利用客は13万人を超えていたが、 2018年度には7万人を下回った。 2014年度以降の赤字経営がひびいていたことを受けて運営側が撤退を申し入れ、 昨年8月以降は閉鎖されていた。

 

そんななか1月7日、 豊岡市の中貝宗治市長は、 乙女の湯を大阪市の宿泊施設運営会社 株式会社キリンジに無償譲渡すると発表。 譲渡後10年間、 乙女の湯を運営することを条件に、 市が無償譲渡を呼びかけていた。 敷地約4600平方メートルは無料、 隣接地の約2000平方メートルは、 年間約56万円で10年間貸し付けられる。

 

会見に同席した天川洋介社長(39)は、 「乙女の湯の一帯を、 温泉を備えたグランピング施設として新たにオープンさせる」と表明した。

記者会見でプランを説明する天川社長(写真中央奥)
記者会見でプランを説明する天川社長(写真中央奥)

「乙女の湯」廃業の記事をきっかけに、 ベンチャー企業と行政が地方創生に乗り出す


天川社長が代表を務める株式会社キリンジは、 既存の建築物の再生利活用にフォーカスした宿泊施設のプロデュース・運営管理を行っている。 『民間事業による地方創生』を基本指針に、 これまで約150室の施設を手掛けてきた。

昨年11月には南海電鉄、 NOTEとの協業により和歌山県「高野下駅」をリノベーションした「NIPPONIA HOTEL 高野山 参詣鉄道 Operated by KIRINJI」を開業。 関西初の駅舎ホテルとして話題になった。

ホテル開業後も駅舎として利用。  客室は2室。  高野下駅は大正14年7月に開業。  国の近代化産業遺産に認定されている
ホテル開業後も駅舎として利用。 客室は2室。 高野下駅は大正14年7月に開業。 国の近代化産業遺産に認定されている

兵庫県出身の天川社長は、 昨年7月「乙女の湯廃業」の記事を目にする。 豊岡の魅力は既に知るところで、 乙女の湯と宿泊施設との組み合わせによる事業存続の可能性を見出し、 早速豊岡市に連絡、 現地へ出向いた。 そして行政や地元住民から話を聞き、 乙女の湯の存続が強く望まれていることを知る。


「豊岡は神鍋(かんなべ)高原や、 久美浜など山や海の豊富な自然に恵まれ、 但馬牛や海の幸などの食材、 良質の温泉など、 エリアとしての魅力は十分に備わっています。 乙女の湯の復活をキッカケに、 活気を取り戻せるのではと考えました」と話す。

乙女の湯 外部も老朽化が進み、  廃業前から改修の予定もされていた
乙女の湯 外部も老朽化が進み、 廃業前から改修の予定もされていた

乙女の湯の泉質はナトリウムー炭酸水素塩・硫酸塩温泉で、  美肌の湯として人気を博していた
乙女の湯の泉質はナトリウムー炭酸水素塩・硫酸塩温泉で、 美肌の湯として人気を博していた

『温泉付きグランピング宿泊施設』として出石の魅力を発信


乙女の湯の赤字を埋め、 収益事業化するために天川社長が提案したのは、 乙女の湯を『温泉付きグランピング宿泊施設』として再生させることだった。


グランピングとは、 ホテル並みの設備やサービスを利用しながら、 自然の中で快適に過ごすキャンプのこと。 テント設営や食事の準備も気にしなくて済むため、 近年幅広い年齢層に人気だ。

グランピングイメージ。  乙女の湯の温泉と、  大自然でのアウトドアを楽しめる
グランピングイメージ。 乙女の湯の温泉と、 大自然でのアウトドアを楽しめる

グランピング施設 夜間のイメージ
グランピング施設 夜間のイメージ

計画では、 乙女の湯一帯を、 飲食テナントなども兼ね備えた複合施設にする予定。 温泉館は一部改修してレストランを拡充。 入浴料は以前と同じ大人500円、 子ども300円の予定で、 温泉だけでも利用ができる。

乙女の湯を含むグランピング施設のイメージ図
乙女の湯を含むグランピング施設のイメージ図

グランピング施設としては、 隣の空き地にデッキとテントを30張新設。 食事はバーベキューやレストランで楽しめる。 施設の利用料は1人4000円~3万円。 (閑散期の素泊まり・繁忙期の2食付き等、 内容により金額が異なる)。 雪の多い1~2月は休業予定。 年間利用者は1万人、 売り上げは年間2億円を見込んでいる。

テント内には最大6人ベッドを準備予定。  野外でも快適な時間を過ごすことができる
テント内には最大6人ベッドを準備予定。 野外でも快適な時間を過ごすことができる

食事はバーベキューをはじめ、  レストランから持ち運んでも楽しめる
食事はバーベキューをはじめ、 レストランから持ち運んでも楽しめる

今回のプロジェクトの総事業費は約8000万円。 うち500万円を「クラウドファンディング」を利用して1月20日から地元を中心に応援を募る。 出資者にはお得な入浴券や、 乙女の湯に名前を入れてもらえるなどの特典がある。

 

地域と企業が心をひとつに、 復活へ向けてスタート


乙女の湯の譲渡が決定する前後、 天川社長は何度も豊岡に足を運び、 地元住民と対話を重ねた。

「当初は、 出石でこんな壮大な施設ができるのかという声も聞かれましたが、 通うたびに賛同をいただくようになり、 皆さんが強く復活を願う想いに触れました。 何としても成功させたいと、 私の想いもどんどん強くなりました」。

出石の地元の皆さんとのミーティングの様子
出石の地元の皆さんとのミーティングの様子

 

 

豊岡市の担当職員 大岸氏(左)と天川社長
豊岡市の担当職員 大岸氏(左)と天川社長

地域特性を活かしたまちづくりで、 明るい未来をつくる


現在、 出石に訪問した観光客の平均滞在は2時間と言われている。 乙女の湯をいかに魅力的な宿泊施設として復活させ、 「旅の目的地」になる価値を生み出せるかが鍵と言えるだろう。


豊岡市の担当職員・大岸氏は「単なる日帰り温泉からの脱却を望んでいます。 乙女の湯が町の核となり、 一人でも多くの方が豊岡・出石に来ていただけるよう、 天川社長、 住民の皆さんと気持ちをひとつにサポートしていきたい」と話す。

 

「ゆくゆくは、 豊岡市内で『まちに広がる分散型ホテル』のプロジェクトも計画しています。 出石のように、 町の未来のために頑張る地方が増えれば、 日本はもっと元気になると信じています。 今回の私たちの取り組みが、 地域活性化のモデルケースとなれたら嬉しい」と天川社長。

復活を誓う決起集会にて。  地元の皆さんと手を取り合い、  乙女の湯を復活させます!
復活を誓う決起集会にて。 地元の皆さんと手を取り合い、 乙女の湯を復活させます!

総事業費の一部を、 地元を中心に一般公募するクラウドファンディング「CAMPFIRE (キャンプファイヤー)」は1月20日(月)からスタートし、 2か月かけて応援者を募る。

 

地方と民間企業協働での地方創生に、 今後も注目したい。


■クラウドファンディング「キャンプファイヤー」サイト

『コウノトリの故郷・兵庫県出石の温泉館「乙女の湯」をグランピング で復活させたい!』

https://camp-fire.jp/projects/view/204417

 

■Facebook  出石町 乙女の湯復活応援グループ

https://www.facebook.com/groups/2497947607148457/


■株式会社キリンジ ホームページ

https://kirinji-corporation.jp/


Image by  kannabe 5 sense

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https://prtimes.jp/im/action.php?run=html&page=releaseimage&company_id=53059&release_id=1

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